はじめに
「歯が黒くなってきたので、全部セラミックに変えた方がいいでしょうか?」
こうしたご相談をいただくことがあります。
たしかに、セラミックは見た目が美しく、長期的に安定した治療が可能な素材ですが、すべてのケースで「全面セラミック」がベストとは限りません。
このコラムでは、黒く見える歯の原因を整理しながら、治療の優先順位や判断軸について歯科医師の視点で詳しく解説していきます。
「黒い歯」の原因を正しく把握する
1. 着色・ステインによる表面の黒ずみ
タバコやコーヒー、赤ワインなどの摂取によって歯の表面に色素が沈着することがあります。
この場合はクリーニングやホワイトニングで改善可能であり、セラミックに置き換える必要はありません。
2. 神経を取った歯(失活歯)の内部変色
歯の神経を除去した後、内部の血液やタンパク質が分解されることで、時間とともに歯が灰色~黒っぽく変色していきます。
このようなケースでは、ホワイトニングでは対応しきれず、セラミックによる被せ物が適応になることがあります。
3. 金属修復物による透け・歯ぐきの黒ずみ
昔の治療で使用された銀歯やメタルコアがセラミックや歯ぐきを通して黒く見えてしまうことがあります。
このような場合、金属を取り除き、オールセラミックで補綴し直すことで改善できます。
4. 虫歯や二次カリエスによる変色
内部で虫歯が進行していたり、過去の詰め物の下で二次的な虫歯が起きている場合にも、歯が黒く見えることがあります。
まずは虫歯の除去と感染部位の処置を優先し、必要に応じてセラミック治療を選択する形になります。
全部セラミックにする前に考えるべきこと
1. 機能的に問題のない歯は温存が原則
健康な歯質を多く残している歯にまでセラミックを被せるのは、かえって侵襲的になることもあります。
見た目に強いコンプレックスがある場合を除き、できる限り歯の保存を優先すべきです。
2. 1本の治療で周囲と調和するか
前歯など目立つ部位の場合、1本だけセラミックにしても色調や質感が周囲と合わず、不自然に見えてしまうことがあります。
このようなケースでは、隣接歯も同時に治療することで全体のバランスを整えることができます。
3. 将来的なメンテナンスを見据えた設計
一度に多数の歯をセラミックにする場合、将来的なトラブルや修理への対応力も考慮する必要があります。
必要最小限の本数から始めて段階的に治療を行うという戦略も有効です。
ブランパ梅田デンタルクリニックの対応
常駐技工士と連携した精密な設計
当院では、常駐の歯科技工士と連携し、患者様一人ひとりのご要望や口元の特徴に合わせた精密な補綴設計を行っています。
「1本だけの治療」でも浮かないように、周囲との調和を最優先にしています。
1day対応でも慎重な治療判断
即日治療が可能な体制を整えていますが、すべての症例に即日を適用するわけではありません。
症状やご希望に応じて、必要な治療を適切な順序でご提案します。
まとめ
歯が黒く見えるからといって、すべてをセラミックに変える必要があるわけではありません。
まずは原因をしっかり見極め、それに合った治療を選択することが大切です。
ご自身の歯をできるだけ残しながら、審美的・機能的に満足できる仕上がりを目指しましょう。
「セラミックにするべきか迷っている」という方は、ぜひ一度ブランパ梅田デンタルクリニックへご相談ください。