「インプラントは治療後の“噛み合わせ”が肝心」:咬合設計と予後への影響

はじめに

インプラント治療を検討する際、多くの患者様は「見た目が自然かどうか」「しっかり噛めるか」といった点に注目されます。

しかし、治療後のインプラントが長持ちするかどうかには、もう一つ極めて重要な要素があります。それが「噛み合わせ(咬合)」です。

インプラントは天然歯と違い、クッションとなる「歯根膜」が存在しません。そのため、咬合設計が適切でなければ、インプラントや周囲の組織に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。

本コラムでは、インプラント治療における咬合設計の重要性と、ブランパ梅田デンタルクリニックでの対応について解説いたします。

インプラントと天然歯の違い

歯根膜の有無による力の吸収の違い

天然歯は「歯根膜」によって、噛む力を感知・緩衝できます。これにより、過剰な力がかかっても自然に回避されるようになっています。

一方、インプラントには歯根膜がないため、ダイレクトに力が伝わりやすく、過重負荷の影響を受けやすいという特徴があります。

インプラントの「沈み込み」がない

天然歯は噛むとわずかに沈み込み、力を分散しますが、インプラントは沈み込みがほとんど起きません。この違いにより、天然歯とインプラントが隣接する場合は咬合設計に特別な注意が必要です。

咬合不良がもたらすリスク

インプラント本体の破損

強すぎる咬合力が加わり続けると、インプラント体やアバットメントに微細なダメージが蓄積し、チタン製のインプラント体が破折するケースも報告されています。

上部構造(被せ物)の破損

セラミックなどで作製された上部構造は、強い力が加わり続けることでチッピング(欠け)や脱離が起きやすくなります。

インプラント周囲炎の誘発

咬合の偏りにより、インプラント周囲の歯肉や骨にストレスが集中すると、炎症や骨吸収(インプラント周囲炎)が進行するリスクが高まります。

咬合設計で考慮すべきポイント

咬合接触点の調整

インプラント上部構造の咬合面における接触点の数と強さをコントロールすることが大切です。
特に奥歯の場合、咬合力が非常に大きくなるため、やや弱めの接触になるよう設計するケースが一般的です。

咀嚼運動における側方圧の回避

咀嚼時の横方向の力(側方圧)はインプラントにとって大きなストレスとなります。咬頭嵌合や犬歯誘導といった咬合設計によって、側方圧がインプラントに直接かからないようにする必要があります。

天然歯とのバランス

インプラントが隣接する天然歯より先に咬合接触することのないよう、ミクロン単位での調整が必要です。これにより、インプラントへの負担を避けながら、全体として調和の取れた咬合を実現します。

ブランパ梅田デンタルクリニックでの対応

咬合診断の徹底

当院では、口腔内スキャナーやCTによるデジタル診断を活用し、咬合状態を3次元的に評価します。噛み合わせのバランスや、筋肉の緊張状態まで考慮した上で、インプラントの位置・角度・高さを設計しています。

院内技工士との連携による微調整

咬合面の設計や咬合紙による接触確認は、院内技工士と歯科医師が協力してリアルタイムに調整します。これにより、仮歯から最終補綴物に至るまで、噛みやすさと長期予後を両立した仕上がりが可能になります。

1day治療でも妥協しない設計力

即日でインプラントの仮歯まで装着する場合でも、咬合設計に妥協は一切ありません。当日のうちにしっかりとした咬合バランスを確保することで、治療直後から快適に噛める状態を提供します。

補助的な対策:ナイトガードの活用

歯ぎしり・食いしばりから守る

就寝中の無意識の歯ぎしりや食いしばりは、インプラントにとって大きな負担になります。ナイトガード(マウスピース型装置)を使用することで、力の分散や咬合バランスの維持が可能です。

咬合のモニタリングにも有用

治療後も定期的にナイトガードを使用・チェックすることで、咬合の変化を早期に発見し、必要な再調整を行うことができます。

まとめ

インプラントは「埋めて終わり」ではなく、その後の咬合管理が長期的な成功に直結します。

見た目だけでなく、機能性・耐久性に優れた治療結果を得るには、歯科医師・技工士・患者様の三位一体の連携と、的確な咬合設計が必要です。

ブランパ梅田デンタルクリニックでは、即日インプラントであっても妥協のない咬合設計を徹底し、患者様の長期的な満足を目指します。インプラント後の噛み合わせにご不安のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

当院山内歯科医師は1996年よりインプラント治療に携わり続けております、施術は全て山内が担当しております。

 

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