はじめに
歯科治療において「できるだけ神経を残す」ことは、歯の寿命を延ばすうえで極めて重要です。とくに1日で補綴治療を完了させる1dayセラミック治療では、治療のスピードだけでなく「いかに歯髄(神経)を保存できるか」が治療成績を左右します。
本コラムでは、1day治療における歯髄保存の重要性と、そのための感染歯質の選択的除去、生体活性材料の活用について解説します。
歯髄保存が歯の寿命に与える影響
神経を残すことで得られる利点
歯髄には、血流・神経・免疫反応が存在し、歯の健康維持に欠かせない役割を担っています。神経を残すことで、歯の脆弱化や破折リスクを最小限に抑えることが可能になります。
抜髄がもたらす長期的リスク
抜髄された歯は感覚を失い、構造的にも脆くなるため、破折・根尖病変・補綴物の脱離などのトラブルが増加しやすくなります。そのため、できる限り歯髄保存を試みることが望ましいとされています。
1day治療と歯髄保存の両立
即日補綴における診断と判断のスピード
1day治療では、診断・形成・補綴設計・装着を1回の来院で完了させる必要があります。そのなかで、歯髄の状態を正確に見極め、保存可能かを迅速に判断する技術が求められます。
感染歯質の選択的除去
従来の治療では感染の可能性がある歯質を広範囲に除去する傾向がありましたが、最近では象牙質の再石灰化能力を考慮し、「感染象牙質」と「感染していない象牙質」を見分けて、最小限の除去にとどめる“選択的除去”が主流となりつつあります。これにより、歯髄への侵襲を抑え、保存の可能性を高めることができます。
生体活性材料の活用
MTAやバイオセラミック系材料
歯髄の保存には、MTA(Mineral Trioxide Aggregate)やバイオセラミック系の覆髄材が有効です。これらは高い封鎖性と生体親和性を持ち、歯髄の炎症を鎮めながら硬組織形成を促す働きを有しています。
臨床応用と効果
覆髄処置後に症状が安定すれば、そのまま即日で補綴治療へと移行することが可能です。これにより、患者様の通院回数を減らしつつ、歯の保存と審美性を同時に達成する治療が実現します。
ブランパ梅田デンタルクリニックの取り組み
歯髄保存を第一に考えた診査・診断
当院では、視診と触診を中心に、慎重な診査を行いながら感染歯質の除去を進め、できる限り歯髄を温存することを重視しています。また、術中の出血や歯髄反応から適切な判断を行い、患者様にとって最適な治療方針を提案します。
1day治療でも高品質な保存治療を
常駐の歯科技工士と連携することで、仮歯を用いずその日のうちにセラミック補綴物の装着が可能です。これにより、仮封材からの感染リスクを抑えつつ、治療の質とスピードを両立させています。
まとめ
1day治療における歯髄保存は、「早さ」と「精度」の両立が求められる繊細な治療です。感染歯質の選択的除去と生体活性材料の活用によって、神経を守りながら補綴治療を完了させることが可能です。
ブランパ梅田デンタルクリニックでは、1日での審美補綴だけでなく、歯の機能と健康を長く保つための保存治療にも注力しています。神経を残したいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
深い虫歯を除去をして即日に最終補綴であるセラミッククラウン修復を終えることは、歯髄保存に最適な治療法の選択肢となります。