全身疾患があっても大丈夫?梅田の歯科医が語るインプラント治療のリスク管理

はじめに

インプラント治療は、欠損歯を補うための非常に有効な手段ですが、全身疾患を有する患者様に対しては慎重な診査・診断とリスクマネジメントが求められます。特に糖尿病や骨粗鬆症などは、骨の代謝や創傷治癒に影響を与えるため、治療成功の可否に直結する重要な因子です。

本コラムでは、インプラント治療における全身疾患の影響と、それに対する具体的な対策について解説します。

糖尿病がインプラント治療に与える影響

血糖コントロールと治療成功率

糖尿病患者様では、高血糖状態が続くと創傷治癒が遅れ、感染リスクが高まります。インプラント手術後の治癒過程が妨げられることで、インプラントの初期固定や長期安定性に影響を及ぼします。

HbA1cの重要性

一般的には、HbA1c値が7.0%以下にコントロールされていることが、安全にインプラント治療を行うための目安とされています。術前の内科主治医との連携が重要です。

歯周病との関連

糖尿病は歯周病のリスク因子でもあるため、口腔内環境が悪化しやすく、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。術前の歯周基本治療や、術後の定期的なメインテナンスが不可欠です。

骨粗鬆症とインプラント治療

骨質への影響

骨粗鬆症の患者様では、骨密度が低下しており、インプラントの初期固定が得にくい可能性があります。上顎の骨など、もともと骨質が軟らかい部位では特に注意が必要です。

ビスホスホネート製剤のリスク

骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネート(BP)製剤を長期服用している場合、抜歯やインプラント埋入後に「薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)」を引き起こす可能性があります。内服・注射の種類、投与期間、休薬の可否などを把握したうえで、慎重な判断が求められます。

治療可否の判断

骨粗鬆症があるからといって必ずしもインプラント治療が不可能になるわけではありませんが、薬剤使用状況や骨の状態に応じて適切な対応を行う必要があります。CTや骨密度の評価、内科との連携が不可欠です。

高血圧や心疾患などその他の全身疾患

全身管理の重要性

高血圧や心疾患、脳血管疾患を有する患者様に対しても、術中・術後のリスク評価が重要です。術前の血圧コントロールや抗血栓薬の管理、ストレス軽減対策などが必要です。

内科との連携

これらの疾患に関しては、主治医と連絡を取り、投薬の内容や手術当日の対応などを事前に確認します。必要に応じて入院下での治療やモニタリング体制の整備も検討します。

リスクマネジメントの基本方針

事前の詳細な問診と診査

持病の有無、服薬状況、既往歴などを詳細に問診し、必要に応じて血液検査や内科紹介を行います。術前診査の段階でリスクを可視化し、患者様と共有します。

リスクに応じた治療計画

高リスクの患者様には、段階的に治療を進めたり、他の補綴手段(ブリッジや義歯)を提案することもあります。インプラントに固執せず、全身状態に応じた最善の治療を提案する姿勢が重要です。

術後のメインテナンス体制

インプラント治療後も、全身疾患の影響を受ける可能性があるため、定期的なメインテナンスと再評価が不可欠です。糖尿病や高血圧などの全身状態を把握しながら、口腔内の健康を長期的に維持することが重要です。

まとめ

インプラント治療においては、口腔内の条件だけでなく、全身状態の把握と管理が治療成功の鍵となります。糖尿病や骨粗鬆症をはじめとした疾患を有する患者様でも、適切な診査・診断と医科との連携があれば、安全かつ成功率の高い治療が可能です。

当院では、全身状態を考慮した上でのインプラント治療計画を立案し、必要に応じて医科との連携を行うことで、安心・安全なインプラント治療を提供しております。

またCT撮影も含めた無料相談も実施しています、1995年以来インプラント治療を行っている山内です、ご相談くださいね。

 

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